MWV昭和50年度卒同期会
    情断ワンデリング   
2728   スノーウォーキング in 裏磐梯  
宿泊:裏磐梯休暇村(MWV4年夏合宿BC

1日目 中瀬沼   2日目 磐梯山イエローフォール
   スノーシューまたはクロスカントリースキーでスノーウォーク

50年度同期会ワンデルング記  「磐梯山、恥の彷徨」

北海道、秋田に続く三年目の今回は、現役四年のときの夏合宿の地、裏磐梯を選びました。当時( 昭和50年夏)休暇村裏磐梯にいらっしゃった木村OBのご尽力で、休暇村の裏の広いグラウンドに ベースキャンプを設置することができたのです。木村OBには昨年のなため会ワンデルング館山でも 大変お世話になり、三十数年ぶりにお会いすることができました。裏磐梯夏合宿は我々の現役時最後の合宿ですから強い印象があり、当然今回の宿泊は休暇村です。真冬の二月ですから、ワンデルングはスノーシュー&クロスカントリーです。メンバーはいつもの小川、原田、宮澤、小田野の四名、少数です。この人数ではもう、同期会とは呼べないでしょうか?

揃って無駄遣いが嫌いで酒飲みの四人は、猪苗代まで二、二七〇円の会津バス夢街道会津号に新宿、王子で乗り込みました。四時間のバス旅行は遠足のようで快適でした。猪苗代から路線バスを使い休暇村には一時前には着いていました。休暇村は立派な建物になっていて、三十年前の建物が何故か少し離れたところに壊されずにそのまま建っていました。

さて、休暇村に荷物を預けて、早速スノーシューをレンタルし、近所の中瀬沼周辺をワンデルングです。スノーシューが始めての三人は、それはもう大喜びで、はしゃぎまわります。あっちこっちと歩き回った後に、沼のほとりでの昼食です。主食がカップラーメンでも気分はスノーパーティです。みんな幸せそうです。翌日に辛くて惨めな思いをすることになるなんて、もちろん夢にも思っていません。

軽い疲れと共に「あ〜あ、楽しかった」と満足して休暇村に帰り、大きな温泉風呂に入って、少なくとも我々四人にとっては十分に豪華な夕食を済ませ、部屋に帰って酒盛りです。でも、明日もあるからいい加減にして早めに寝ましょう。

さて、翌日は磐梯山のふもと、銅沼を通ってイエローフォールを見物です。。あいにく天気は悪いものの、何とかなるでしょう。バスの乗換えが面倒なので、豪勢にタクシーで裏磐梯スキー場まで行きます。私の強い勧めで今日はクロスカントリーセットをレンタルです。これが無茶でした。リフトを二本乗り降りするのにも転んで大変な騒ぎです。後々三人に訊くと、このリフトの乗り降りで転んで、リフトの運転をストップさせたことが、彼等の自尊心を痛く傷つけたようです。でも、私はこれが見たかったので、大いに笑って満足しました。リフト上部からは緩い勾配があるだけですが、時々後ろがついてきません。平坦な何てことないところで見事に転んでいます。凍結した銅沼は広々としていて気分がよく、強い風にも負けずに進みます。見上げれば磐梯山が大きく聳えています。現役当時、磐梯山には全部員で休暇村から歩いて、部旗をかついで登ったんだよなー、今はそんな人、まずいないですね。銅沼を渡りきってからの登りでは、ほんのちょっと苦労しましたが、なんとかイエローフォールまで辿り着きました。今年は寒波が弱くほとんど黄色くなっていない大きくない氷の塊をバックに記念撮影をし、さて帰りましょう。でも、そこはバックカントリー経験者の私がいるのですから同じコースを帰る訳がありません。森の中を歩いて帰りましょう。ネイチャースキーってやつを親愛なる同輩に経験させてやろうという、私の旺盛なサービス精神のもと、森の中を抜けてスキー場下へと向かいます。ここまで時折吹雪のような状態でしたが、森の中は静かです。トレースはないものの、深雪を踏みしめ、順調に進んでいきます。基本的に下りですから、三人はあちこちで転びまくりです。私が「これが面白いんだよね」とネイチャースキーの素晴らしさを語っても、三人の口数は次第に少なくなります。間もなくトレースも見つかったし、スピードを上げましょう。さすがワンダラー、雪まみれになりながらもしっかりついて来ます。

しばらくして先頭の私は、ある場所で、はたと立ち止まりました。地図の地形と違う場所に来ていました。「あそこで間違ったか」と悔いましたが、引き返すよりコースに回りこむほうが時間的にも体力的にも精神的にも良いと考え、隣の尾根の山越えに入ります。これがかなりしんどかった。かなりの時間とアルバイトを強いられ、私に向けられる三人の視線がだんだん冷たくなります。ツエルトやカイデンは私しか持っていないでしょう。「遭難」の文字が頭の隅っこにぼんやりと浮かんできます。私は責任の重さに身のすくむ思いで、それでも先へ進みます。やっと広いところへ出たので、GPSで現在地を確認します。ほとんど思った位置にいることがわかったので、三人に知らせ、安心させます。それでも、今度は下りが多くなり、転びまくり雪まみれの惨めな姿に拍車がかかります。三人の体力の消耗はもう隠しようがありません。ついに板を外して坪足で歩き始める者が出ました。

思いのほか時間をとられましたが、やっとスキー場へ出たのでやれやれでした。私の予定からは一時間以上も遅れました。しかも、早く脱出しようと昼飯も食っていませんでした。今日も愉快なスノーパーティがやれるはずでしたが、三人の冷ややかな視線と態度が棘のように突き刺さります。それでも裏磐梯ホテルまできて美味しいコーヒーを飲むと、やっと笑顔が出てきました。でも、その笑顔がかなり引きつっているのを私は見逃しませんでした。

さらに悪いことに、悪天候のせいで電車が遅れているということがわかりました。もしかしたら止まってしまうかもしれません。少しでも早く駅に着こうとタクシーに乗り込みます。猪苗代駅ではやはり大幅に電車が遅れていました。それでも、そのおかげで遅れた電車に間に合って、その後は順調に帰ることができました。めでたし、めでたし!次回は新人養成で行った北八ヶ岳の予定です。