北八ヶ岳2005年3月12〜13日 単独行  コース図     

  


高見石から南側、中山と高見石小屋

高見石から北側、丸山方面

白駒池を望む


3年前にテレマークスキーの講習をしてもらった高見石小屋の原田社長と鈴木さんに会いたくて以前から計画していた。一昨年も同じコースを計画したが、スキー技術が今よりもっと稚拙だっし、ルートがはっきりしなかったこともあり途中の麦草山荘で泊まってしまった。だから今度こそはと意気込んでいたわけだ。なにしろ単独行だし冬山だから念には念をとGPSまで買って準備した。このコースを通る人は少なくないしトレースもありルートははっきりしているとわかっていても、やはり一人は不安だ。

 am4時半頃自宅を出発、双葉SAで朝食を摂り予定通り8時過ぎにはピラタスに着く。大キジと準備に手間取って820始発のロープウェイに乗り遅れたと思っていたら、まだ試運転中だという。待っていると、停電で動かないという説明があり買ったチケットを払い戻す。こうなれば歩いて登るしかないから、スキー場のリフトで途中まででも上がることにする。2基あるリフトの1基がやはり停電で動いていない。残る1基に乗って上に着き、板にシールを貼っている間にそのリフトも止まってしまった。時々吹雪といえるほどの突風が吹くので、乗りっぱなしで宙ぶらりんになった人たちはさぞかし我が身の不運を嘆いていることだろう。自分は運がいいのか悪いのか、ここまでではわからないが、山の上部だけ雲が厚くて展望は良くないので、今のところまあまあということかもしれない。誰も滑ってこないゲレンデをひたすら登っていく。シールは良く効いて急な斜面もほとんどまっすぐ登れる。モービルが猛スピードで上り下りしているから停電事故のことで大変なのだろう。係りの人がスキーで滑り降りてきて、本当はゲレンデを登るのは禁止だから気をつけて、といわれた。1時間ほどでロープウェイ頂上駅に着いた。雪交じりの風が強く、停電しなくてもロープウェイは止まっただろう。

 2年振りのコースだが、前回の時には思わぬ時間がかかったので、早め早めに先へと進む。トレースはしっかりしているから迷いようがない。狭いコースのくだりではプルークができないのでやはりスリリングだ。出逢いの辻からシールをつけ、オトギリ平まで順調に着く。まだ風が強く、先の長いことを考えると落ち着かないので、立ったまま握り飯と白湯で昼飯とする。前回は標識の文字が見えないため、ここから大石峠へのコースがわからず林道に出てしまったが、何のことはない、少しマネージすればすぐにわかったはず。今はツアー用のフラッグも立ててあって迷いようがない。

GPSはとても心強かった。標高は実に正確だ。登録したポイント位置をPCで修正したのがいけなかったか、途中数個のポイントがルートを外れている。しかしポイントがずれていなければそこまでの距離、高度などがすぐわかり、使い方次第ではとても頼りになりそうだ。広い雪原を進み樹林帯に入ると大石峠だった。ここでシールをはずしてしばらく行くと麦草峠に着いた。麦草山荘でコーヒーを注文し、キジを撃ってから白駒池に向かう。ちょうど5人のグループ(若い女性が3人も入っている)と一緒になり、前後して歩く。白駒池十字路からの登りは結構急でシールをつけたが、さすがに若い人の体力はすごい、ステップカットのまま足先を開いて登るスタイルを続けて、私にぴったりついてきた女の子がいた。私といえば息も足の筋肉もつらいので時々立ち止まって休まなければ登れなかったが、後ろを振り向くとすぐ後ろに付けていて、女優のように可愛い顔でニコッと笑う。「先に行けば」と言うと、「いえいえ、とんでもない」とへりくだって愛くるしい。

 しばらく苦しい登りが続いたがやがて高見石小屋に到着した。ここは三十数年前の新人養成Wで通過しているはずだ。原田社長はいなかったが、鈴木さんがいて覚えていてくれた。思わぬことにとても込んでいて、びっくりした。高見石小屋主宰のツアーが成功しているようだ。食事は2回に分けてするほどだった。もちろん中高年は多いが若い人、特に女性がとても多いのに感心した。高見石に登るとまわりの冬景色はすばらしいが、アルプス等は厚い雲に隠れて見えなかった。零下20度にもなるから素手でデジカメを使うと手がかじかんで数枚しか撮れない。

 翌朝、朝食を終えるとすぐに出発した。プルークのできない狭い下り道はシールを付けたまま滑ることでなんとか切り抜けた。十字路手前の急斜面はさすがにスリリングだった。渋滞に巻き込まれず早く家に着きたかったので、昨日のコースを忠実に戻る。大石峠まではシールを付けっぱなしだった。大石峠からの広い雪原の下りはもっと楽しめるかと思ったがほとんど歩きだった。出会いの辻からは立ち止まって休む回数も益々増え、五辻手前の東屋で休憩し、高見石小屋でもらったお茶を飲みタバコを1本吸った。出発から3時間弱でロープウェイ駅に着き、カモシカコースのゲレンデに入ったが、やはりアイスバーンがあって苦労した。不安定だから思い切り膝を曲げるので下に着くまでにふらふらになってしまった。