山日記
1999/9/25(土)〜26(日) 皇海山 庚申山付近から
2万5千図:皇海山(南東)/袈裟丸山(北東)/足尾(北西)

9/25(土)晴れ
銀山平駐車場8:55−一の鳥居10:00/10:15−鏡岩10:55/11:15−庚申山荘12:00/12:55−お山めぐり−庚申山荘13:55
ついこの間の9/5、不動沢コースの企みをがけ崩れのための林道不通で敗退したことが、この山はこのコースを取るべきとの暗示と思い、久しぶりの1泊2日の山行であった。天気は芳しくなく、行程も私にとってはかなりのアルバイトを強いてくれたが、不動沢コースでは体験できなかったであろう、いろいろな意味で心に残る山行となった。
東北道を佐野ICで降りて渡良瀬川沿いに走る久し振りの道路を通る。桐生市内や草木湖の上流で釣りをした時に何度か通ったコースである。庚申山への道は足尾銅山の只中を通る。いまも営業をしているようだ。国民宿舎かじか荘のすぐ上に駐車場がある。4〜50台のスペースはありそうである。そこから歩いてすぐで車止めになり、渓谷沿いの幅広い林道を進む。1泊でも庚申山荘泊りなので荷物も軽く、目標の山だったので足取りも軽い。1時間ほどで一の鳥居に着く。一休みしているところに、大きなガマガエルがのそのそ歩いていて、飽きずにしばらく見ていた。鳥居の先はなだらかで自然公園風の趣のあるところで、庚申七滝への案内板があったが割愛。鏡岩で1本立てて、しばらくで庚申山荘に着く。机上登山ではもっと稜線に近い山小屋と思ったが、手白小屋のロケーションに似て、小屋前の緩斜面を伐採して大きな広場になっている。トイレは広場の隅にある。2階建ての立派な小屋で、リビング(食堂)もあり台所も広くて、それほど古くはない。泊まり客も5〜6組で、のんびりできそうだ。最終的には、私は1階の12畳部屋に5人の中に入った。隣部屋と2階は団体が占めている。
山荘前の広場のテーブルで昼飯を済ませ「お山めぐり」に向かう。一旦、神社跡まで戻り、右回りを選ぶ。「危険のため禁止」と書いた案内板があるが、時間があるので様子を見に行く。かなり上まで登って下りに入ったところに谷に渡した長さ10mほどの小さな橋があり、その上に岩が重なり合って山盛りになり、通る邪魔をしている。落石のためか、よく壊れなかったものだ。この手前にロープが張られていたので、このための通行禁止かと思う。苦もなく通り過ぎると岩壁をトラバースする道になる。それほど危険なところも無かったが、信仰の山のため、高齢者を慮って通行禁止にしているのだろう。庚申山への道に合流して山荘へ戻る道へ入る。明日は未明に懐中電灯でここを通るはずなので、間違わないように道筋を覚えながら下る。
 山荘に着いてもまだ夕刻にはだいぶあるので、持ってきた小説を読みながら一杯やる事にする。広場のいくつかのテーブルは泊まり客で埋まっているので、山荘横の草の上に陣取る。缶ビール1本とワンカップを2本、程よく酔ったところで後ろの気配に気づくと、ここの名物の鹿が何頭もすぐ傍まで近寄ってきている。つい餌を与えてしまう人が多いのだろう。


デジタルビデオからの映像のため画質が劣る

9/26(日)曇時々晴れ
庚申山荘4:55−庚申山6:00/6:10−鋸岳8:10−不動沢のコル手前のピーク8:30/8:40−皇海山9:40/10:00−鋸岳10:45/10:50−庚申山12:30/12:40−庚申山荘13:20/13:40−銀山平駐車場15:30
 まだ暗いうちに起きて準備をし、ヘッドランプを照らしながら昨日降りてきた道を辿る。たぶん出発はトップだったろう。昨日通っていなかったら暗い道では幾度か迷ったかも知れない。庚申山頂上まで一気に登って1本立てていたらすぐに追いついてきた人がいた。小屋で隣合わせで寝た人で、昨晩も各地の山についての薀蓄をいろいろ話し掛けてきた。「あれ、朝飯を食べてたの?だいぶ後に出てきたんだけどね」と、いかにも山歩きで人に負けたくない、自分がいかに速いかを自慢したげな、最近よく山で出くわす血気盛んなオジサンである。自分の中にその要素が皆無とは思えないだけに不快である。
 庚申山頂は林の只中で眺望はまったくなかったが、少し進むと前が開けた。目指す皇海山が目の前に、頂を半ば雲に覆われた姿を見せた。雲は空のすべてを厚く覆ってはいるが、その境界線は山並みまでは達していない。しかし、皇海山をはじめ、高い峰の山頂だけがその雲の底からはみ出したような片割れに纏いつかれている。昨日の天気が続いていれば...残念。少しでも山頂の雲が取れることを期待しつつ前進する。先は長い、まずは鋸山まで。そこまでが結構な難路であった。鎖場やはしごで上り下りを繰り返す。鋸山は山容は大きいが山頂はあっけないほどのもので、ただ通過する。ここから下って登ると皇海だが、この下りを引き返すと思うと気が重い。おまけに雨がぱらついてきた。  不動沢のコルには大勢の中年族が合羽姿で道を塞いでいる。ついこの間、ここへ辿り付くコースを目指したが、林道決壊中で通行不能のはずだ。聞くと、逆の南側の林道から来たそうで、ゲートがあるが、鍵を役所から借りて開けたそうである。いろいろな手があるものだと思った。しかし、自分が登ってきたから言うのではないが、否、だからこそ言うのだが、経験者の誰もが言っていた通り、皇海山へはこの庚申山コースが絶対いい。皇海山の印象がまったく違ってくる。
 不動沢のコルからは森の中のだらだら登りで、着いた山頂は大きな木々に隠されて見通しが利かない。しかも小雨交じりの強風で寒く、それでなくとも帰りのことを考えるとのんびりできない。奥の深い山、遠い山だとの印象が強く、だからこそ引き付けられる魅力がある山だと思う。
 帰途は六林班林道という手もあったが、恐ろしく長い道のりという前評判なので、来た道を辿る。下山はさすがに疲れて足取りも鈍い。特に最後の林道は多少の下り勾配のはずなのに、来た以上に時間がかかった。

    
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