4/27(土) 大台ケ原
北越谷6：02―東京―新大阪―なんば/南海難波―金剛12：00―（レンタカー）―R309―天川村洞川キャンプ場14：00―高原洞川林道―大台ケ原公園川上線―大台ケ原P 15：40／15：50日出ガ岳16：20―16：40正木ガ原‐尾鷲辻‐大台ケ原P17：30―洞川キャンプ場19：30
近畿の山、大台ケ原と大峰山（八経ヶ岳、山上ガ岳）を３日間でやろうと考えて調べ、交通機関と自分の体力からみて、車を使って三つの山をピストンする方法に決めた。八経ヶ岳から山上ガ岳への奥駆け縦走は魅力だったがまたの機会があることを望もう。
アプローチにレンタカーを使う上で五条市が最も近かったが、楠公ゆかりの千早赤坂村を通りたいことがあって金剛にした。一番安い軽4輪にしたがやはりいろいろ不具合があった。金剛からずっとR309を行く。下市からは国道といいながらも車のすれ違い待ちが必要な狭いところも多くあって、なかなかハードなドライブだった。洞川（どろがわ）温泉は30件ほどの旅館のある中程度の温泉街で、大阪、奈良方面からは車で3時間程度だろうが、狭く曲がりくねった長い山道があるので秘境に近いものがあると思う。それでも大峰山の入口にあるところから、古くから知られた保養地なのであろう。GW前半ではあるもののかなりの人出がある。温泉街と川を挟んだ道を少し奥に入ると洞川キャンプ場があった。事前にWebで調べたらこの天川村にはオートキャンプ場が数多くあり、近畿圏でのアウトドア―のメッカのひとつになっているのだろう。この洞川キャンプ場も小さいが、車のそばでキャンプができるという意味ではオートキャンプ場になっている。小さな川を渡って入るとおばちゃん（私より年下かもしれない）がいて、気さくにサイトを案内してくれグランドシート用にブルーシートまで貸してくれた。1泊3,000円だが、この陽気で親切なおばちゃんがいたおかげで決して高くはないと思った。これから大台ケ原に向かうので、テントを広げ荷物を投げ入れるとタープも張らずにすぐに出かける。当初の予定では行者還トンネル、新伯母峰トンネルを抜けて行こうと思っていたが、キャンプ場のおじさん―この人は私よりも10歳ほど年上だとあとでわかった―に聞くと不通という。高原洞川林道を教えてもらって大峰山・山上ガ岳方面へ向かう。この山道でも時間がかかったが、大台ケ原公園川上線へ出てからもうんざりするほど長かった。それにも増して標高が上がるとものすごい濃霧になり、スピードを落とさざるを得なかった。終点の大台ケ原駐車場に着いたのはやっと4時前で、とても予定コースは歩けない。この時間でも人は多く、さすがに有名な観光地となっているようだ。
日出ガ岳まではだらだらの歩きやすい道で、原生林の雰囲気はある。分岐から最後の木の階段を登りつめるとコンクリート製の展望台が建っていて、その脇に頂上があった。一等三角点である。展望はほとんどきかないがピラミッドのような釈迦ガ岳だけはわかった。山頂付近に鹿が寄っていて警戒心は薄い。分岐から正木ガ原に向かうと、まだ新しい幅広な木道、というより木造の回廊とでもいえる立派なものが作られている。周りは枯れ木の様相を見せて、写真で見たような独特の景観になっている。トウヒの原生林だが鹿の影響で枯れてきて現在のようになった、と案内板に記されている。本当に鹿の影響だけならば他の地域でも同様のことが多く発生しているはずだが。日暮れまでに間に合わないので尾鷲辻から駐車場に戻った。
長い帰り道をキャンプ場へ戻る。高原洞川林道では１台の車ともすれ違わなかった。人気のない日暮れ以降の山道を乗り慣れない軽４のレンタカーはさすがに気味が悪い。キャンプ場に戻るとおばちゃんから早速声がかかり、かまどのそばでいろいろご馳走になりながらおじちゃんの話を聞く。おじちゃんはあちこちの山に行って水晶などを採取しているすごい人のようで、愉快な話だった。
4/28(日) 八経ガ岳（八剣山）
洞川キャンプ場5：10行者還トンネル登山口6：05／6：10奥駆け縦走路出合7：00／7：10（1630ｍ）8：00／8：10弥山小屋（←→弥山）8：40／8：50八経ガ岳9：15／9：35弥山小屋9：50（1600ｍピーク）10：30／10：40行者還トンネル登山口11：20－洞川キャンプ場
寝坊して、テントを出たらもう明るかった。急いで支度をし、洞川温泉から山道を下って国道309号線を行者トンネルへ向かう。やはり車のすれ違いに譲り合わねばならぬ天川沿いの狭い国道だが、さすがに早朝では上りの車はない。所々、道路脇にとめてある車は釣り人であろう。天川はすばらしい渓相である。ロッドを持ってきていれば2時間くらいはやることもできたろうに。登山口のあるトンネルまでは1時間もかかった。手前の駐車スペースはすでにぎっしりと車で埋められていて、30～40台もあるだろうか。駐車するスペースを探すのに手間取るかと思ったが、たまたま出て行く車があって登山口に近いところに駐車することができた。
登山口から沢沿いに少し行ったところで対岸に渉るとすぐに急登が始まる。まわりはシャクナゲが非常に多いが、今年は早いといわれながらもこの時期ではさすがに咲いているのを見たのは一株一輪のみであった。1時間近く歩いた頃､ふと駐車している車が気になった。ヘッドライトを点けっ放しで来たのではないかということだった。キャンプ場から登山口までは狭い道なのでヘッドライトを点けて来て、車を出るときに消した覚えはない。レンタカーは軽だからエンジンを切っても自動的に消えるとは思えなかった。点けっ放しだともう既にバッテリーはあがっているだろうから今から引き返しても無駄だ。あれだけ駐車している車があれば助けてくれる人もいるだろう､と思って登りつづけたが､山頂に着くまでどうもそれに気が囚われて往生した。
弥山小屋から弥山を往復して八経ガ岳に向かう。途中に金網が張り巡らされ､ゲートが何ヶ所もある。オオヤマレンゲを鹿の食害から守るためだという。オオヤマレンゲは季節が早すぎて芽も出ていないので残念ではあるが、いつかまたここに立ち寄って見てみたい花である。山頂はガスがかかり近くの弥山しか見えない。しばらく待ってみたが状況が変わらないので引き返す。
登山口が近づくにつれて車のバッテリーが気になり､車に帰ってドアを開けてスターターを廻すまでドキドキだったが､無事に始動した。力が抜けていくほどほっとした。やはりライトスイッチは消していなかったが最近の軽はちゃんと自動的に消すようだ。普段オートライトの車に乗っているとライトを消す習慣がないので､こういうときにうっかりしてしまう。洞川温泉街の店で買出しをして今日はひとりで夕餉を楽しむ。
4/29(祝) 山上ガ岳
洞川キャンプ場―清浄大橋（0：40）林道終点（0：30）掛小屋（1：00）蓮華辻（0：45）山上ガ岳（０：５０）洞辻茶屋（１：１０）清浄大橋―洞川（実働 ４：５５）―下市―五条―千早―金剛－南海難波/なんば―新大阪行16:03－北越谷19:49
今日は帰る日だったので早めに行動しようと、未明に車を出して清浄大橋の駐車場まで行ったが、暗闇の林道､山道がやはり怖くて夜明けまで待つことにした。駐車場の周りをオコジョかテンらしいのが走り回る。はじめは目の光だけだったので何なのかわからなかったが以外に近くまで寄ってきたので姿がおぼろげになった。時節なのでツガイである。そのうち狸もツガイで現われた。
やっと空が白々して来たのでライトを点けて出かける。林道は突然終わり、はしご段を上がって山道になった。沢沿いを進むが意外にも整備された道ではなく、たくさんの人が通っているとも思われぬ普通の山道である。やはり一般的には清浄大橋から鳥居をくぐって茶屋のある尾根沿いを行くのがほとんどなのだろう。掛小屋は「跡」と付け加えるべき残骸だった。このあたりからミソサザエが頻繁に鳴き騒ぎ、稜線に出るまで続いた。道は本流から外れると傾斜が急になり稜線がはるか目の上に望めた。このあたりは下草や潅木が少なく広々として静かでいい気分だ。登山口からずっとひとりの登山客とも会わない。稜線に着くと大きな鳥居があり女人禁制の山である警告の大きな案内板がある。伝統、文化に徒に男女平等論を持ち込む輩が多いらしい。鳥居（この名称でよいのかわからない）をくぐり、狭い稜線を行くと広々とした笹原になりお花畑となっている。もちろん花はまだ少しも咲いていない。山頂は少し奥まったところにわずかに盛り上がっただけの平らなところで、樹木に覆われ、岩が祭ってあって石柵がある。もちろん展望など望むべくもない。頂上に立つことがこの山に登る人たちの目的ではなかったことがわかるような密やかな山頂である。
山頂からすぐの石段を降りると、大きな建築物やら石碑で囲まれた広場がある。視界20mほどの濃いガスで覆われ他に人もいなくて静かなので荘厳な雰囲気がする。その先はずっと古式蒼然たる参道が続く。山道らしくなってもそこここに石碑や石仏があり歴史を感じさせる。梯子段などのある険しい場所もあって修験道の山らしい。緩やかではあるがだらだらと長い道が続く。洞辻茶屋はやっとこれから準備に入るところである。茶屋の様子では参拝客がかなり多そうである。下るにしたがい参拝客が多くなってくる。
駐車場に着くや駐車料金2､000円を徴収される。キャンプ場に戻り急いでテントを撤収する。レンタカーに荷物を積んでおばちゃんにさよならを言い帰途に入る。途中、楠木正成ゆかりの金剛山に立ち寄り散策しようとしたが、すごい人の込み様で通り過ぎる。
今回の山行は日本でも有数の古い歴史の地域を巡った興味深いものであった。歴史は古くとも未だに深い森は未踏の場所もまだあるという。ニホンオオカミを現在も探索している人もいると聞いた。時代小説の好きな私にはまたいつか、何度でも訪れてみたい山々であった。
