11/13 毛無山 1945m 
地形図

by Morinaga

北越谷3:20―麓駐車場6:10/6:20―地蔵峠分岐6:30―不動の滝眺望台(見晴台)7:00/7:10―(前回引き返した地点)7:40―五合目7:50―稜線、南アルプス展望台9:10/9:25―毛無山山頂9:30/10:05―麓駐車場11:20―北越谷14:10

● 昨年9月、前原山行会でこの山へ来たが、雨が本降りになったので引き返したことがある。そのときは会で再挑戦だったから、もう三度目は懲りて来年の予定にも上がっていない。これで登るチャンスはないかと思ったが、その雪辱に一人で挑戦するため、また登り残したのが気になって頭がスースーするのと、前日の天気予報が良かったために計画した。(前原山行会のページへ
● 二日前の天気予報では「晴れ時々曇り」だったのが前夜には「晴れ」になった。どうやら山の神様は私に毛無山へ一人で登る様にセッテイングしてくれたようだ。当日朝は全く快晴の天気だった。
● 朝霧高原に着くと霧も雲も全くなく、日の出時間を過ぎたが太陽は富士山の陰に隠れ、富士も夜明け前の薄明に青黒く輝き、素晴らしい景観が拡がっていた。山頂付近にうっすらと薄化粧である。山梨百名山に入る毛無山も、前回は姿さえ見せなかったが、今は朝日に輝き大きな山容を構えて立派である。


夜明け前、朝霧高原から

1年ぶりの登山口

● 麓部落から登山口へ入り、そばの駐車場に車を入れる。ここは有料で500円、専用の小袋に入れて箱に入れる。
● 高度計をセットして登り始める。登っているうちにわかったが、この山は1合目から山頂まで、ほぼ等分にきちんと分けてあり、その高度差は100m〜115mとなっている。高度計がなくてもどこまで登ったかがとてもわかりやすい。登山口が868m、山頂1945mだから高度差約1080mとなかなかのアルバイトだ。
● 登山口から10分ほど歩いた地蔵峠への分岐点から本格的な山道になる。この山のもうひとつの特徴は、ここから稜線に上がるまで、ほぼ同じような傾斜で続いていることだ。胸突き八丁もなければ緩やかな道もない、同じ勾配をただ登り詰めの山である。道の様子もそれほど変わりがないから、雨が降って景色も見られなければ全く滅入ってしまうだろう。去年引き返したのは大正解だと思う。
● 登りは富士山を背にしている。九十九折れの道だと右に富士、左に富士と入れ替わる。日は富士山の陰だから富士山は東にある。6:40頃、日の出時間から30分も遅れて富士の右の裾野からお天道様が顔を出した。ここで気が付いたが、太陽は富士山から少しずつ離れていくといえども、山頂に着いても富士山の方向は逆光である。これではくっきりと見えないしいい写真も取れないと思う。しかし富士山を麓から全景をこれだけ大きく見るのは越前岳以来だ。


神社

金山の鉱石破砕機

毛無山の山頂方向

涸れ沢を渡る


紅葉はここまで


地蔵峠分岐、ここから
勾配のある山道になる

分岐にある案内板

不動の滝

見晴台の看板
年季が入っている

● 不動の滝は、前回はガスでほんの一部がかすかに覗けただけだったが、あらためてみるとかなり迫力のある大きな滝だ。
● 前回引き返した地点は高度計では1340m、4合目から高度40mほど登ったところだった。単調ではないがところどころに岩がある勾配の同じ道をひたすら登り、6〜7合目を過ぎると左手に見える峰や峠が次第に目の高さに近づく。地蔵峠からもかなりの高度を登らねばならないようだ。振り返れば富士山は相変わらず樹間に大きく見える。夜明け近くには雲ひとつなかったが、今は中腹に帯を結ぶように雲を巻いている。
● 山の紅葉は終焉を告げていた。道は朽葉色で覆われ、モミジやカエデも赤から紅へ、紅から臙脂へと色を替えていた。しかし、くすんだ色合いもよくよく見ると味わい深く、燻し銀のような渋い風情がある。枯れる前の情念とも思える。この色を「年増色」と命名した。
● 道に蜘蛛の巣が少しかかっているから、私がどうやらこのコース一番乗りのようである。体調も悪くないので休憩もほとんどしないですみそうだ。ちょうど2年前にタバコをやめてから(今は少しだけ吸っているが...)運動誘発性喘息というのにかかっているが、最近だいぶ良くなって、少しゼイゼイ苦しいのは10〜20分くらいで、薬も今は使っていない。
● 稜線に上がる少し手前に富士山の展望台と言う場所があって、岩が飛び出たところに出ると富士山が指呼の間に壮大に聳えている。雲が中腹以上にだいぶ上がってきたが、それでも天空は雲ひとつない青空だ。
● 稜線に上がって少し行くと南アルプスの展望台という案内板がありそばの岩に登ると、素晴らしい展望が待っていた。私にとっては富士山よりも見たかった景観だ。右手の八ヶ岳から甲斐駒・仙丈ケ岳、北岳・間ノ岳、塩見岳、荒川三山、赤石岳、聖岳、上河内岳と見事に居並び、一点の雲なく麓の山から見渡せる。10分以上も展望を堪能していると、頭上からいきなり雲が流れてきた。!!っと思って振り返ると、東側が真っ白になって、富士山など陰も形も見えない。びっくりして西の南アルプス側に向き直ればこれもまた今に白濁して消えかかんとしている。驚いてしまった。山の天気は変わりやすいと誰もが口にし、自分でも理解し、幾千の書物が記しているだろうが、これほどの変化は経験がない。麓側からこのコースを登った人は、これで私以外は南アルプスの大展望を見逃してしまったことになる。


色褪せた紅葉は渋味を増し
秋深さを感ずる。年増色と命名

前回引き返した地点


五合目、やっと中間点かと
先の長さに気を引き締める

抜けるような青空に、落葉した
枝が来る冬を思わせる

ほぼ正確に高度を知らしめる
合数表示、単調な登り坂の救い

山頂では見られなかった
富士の容姿をここで堪能した

富士は雲が良く似合う
稜線近くの富士山展望台


稜線に上がったところ



南アルプス展望台から
右に八ヶ岳、北岳の鋭鋒


右に甲斐駒、北岳にではなく
中央の間ノ岳に積雪が見える

右は塩見岳から左上河内岳
山脈主峰の赤石岳にも積雪

後ろにある案内板は北アル
プス展望台、南アルプスに
替えられたのは当然

山頂で記念写真
風が強くなって寒い

景色は見えないが
堂々たる一等三角点


● 山頂は雲の中で展望もない。山梨百名山を実感するには20分遅かった。2000m級の山で風が強いとさすがに寒い。久し振りにウインドブレイカーをはおって木陰で昼飯にする。富岳雄景に乾杯のつもりの缶ビールもほろ苦く、にぎりめしとカップ麺を食す。
● 予定していた2万5千図に記されている山頂の北側から麓に下る別のルートは廃道で立ち入り禁止とあるから、藪もひとりでは思わぬミスをするから諦めて来た道を引き返す。だらだら時間をかけるのもかったるいから、どのくらいの時間で下れるのか頑張ってみた。登りに実働3時間弱なら普通で2時間、無理して半分の1時間半とみてやってみた。幸い登ってくる登山者を数えながら下ったら途中まで10組15人とほとんど障害がなくスムーズに下れた。そのあとに10人程の中年女性ばかりの集団が道を塞いで休憩していて譲る気もなさそう。しかたなく道を外れて藪に入って迂回しようとしたら落石を起こして睨まれてしまった。下りの何とかで若気を気取ったが登りよりも汗だくになってへとへと。後半はさすがペースは落ちたがそれでも1時間20分で1000m強を下り降りて満足だった。