2007.7.27〜31 北アルプス
上高地〜南岳・中岳・大喰岳〜赤沢山・西岳・赤岩岳〜東天井岳・横通岳〜常念岳〜上高地

1日目(7/27) 新宿(前夜)〜上高地〜南岳
●今回の目的は標高百名山8座だ。久しぶりの4日以上の縦走で体力的に自信がなかったが、結果的にはほぼ予定通りに歩けて、少し自信を取り戻した。
●上高地往復の交通手段に初めて直通バス(往路は夜行)を使った。座席が狭くて疲れたが、車で来て復路に渋滞に巻き込まれるのが嫌だったし、一人だと安くて、日程的に便利で、やはり車よりは疲れない。
●前日の夜に一杯引っ掛けてからバスターミナルに向かったが、その場所がわからず右往左往して汗まみれになり、バスが出ても濡れたままのTシャツで風邪を引かぬか心配になるほどだった。
●上高地では「ほんまかいな」のU嬢、H嬢達にばったり会い、聞けば槍から南岳を廻るということで、槍と南の間で会おう、という話で盛り上がった。今日は殺生ヒュッテまで上がると言うので、こちらも負けじと南岳まで行くことにした。これが途中で大きく後悔する元だったが、結果オーライだったので彼女らに感謝だ。
●先を急ごうと1時間ほどで、ない後ろ髪を引かれながらも「ほんまかいな」のきれいどころに別れを告げて、槍沢ヒュッテまでは快調に歩いた。ここからがいけない。張り切りすぎてオーバーペースだったため、天狗原への分岐までにかなり疲れてしまった。
●天狗原への分岐で単独の女性に追いついたが、雪渓を怖がっているので少しステップを切って先導してやった。しばらくは距離を置きながらも後を着いて来ていた。しかし天狗原を過ぎたあたりから遠くにも見えなくなってしまい、あの時間であの場所にいてどうしたのか心配になったが、こちらは数十年振りとも言えるバテバテ状態でどうしようもなかった。きっと引き帰したろうと思い込み、その後遭難の報もなかったので忘れてしまった。
●天狗原はその名の通り、日本庭園の様相で風趣があったが、それを愛でる余裕はない。登りに入り、あと稜線まで2時間というのに足が攣ってしまった。冷やしてスポーツ用サロンパスを貼って進むが、絶好の天候なのに写真を撮るのも花を見るのにも余裕がないほど疲労困憊、ばてててしまった。
●稜線がはるか高みに見え、攣った左足をなるべく使わないように、ほぼ右足だけを使って牛歩の苦しい登りを続けているうち、「稜線まで10分」の標識があり、思わず「助かった!」と声に出すところだった。
●南岳はすぐのはずが、これも長い道であった。それでも今回の目標の1番手、南岳に着いたときは記念写真を撮り(あとから写真を見ると疲れが感じられないが...)、小屋に到着してビールでひとり乾杯して、まずは目出度し!


河童橋で焼岳方面を見る
「ほんまかいな」嬢達

上高地バスターミナルから焼岳


梓川沿いから(前?)明神岳


横尾山荘前、ここまで2ピッチ

天狗原から
天気はこの日が最上だったが...

天狗原から南岳稜線
先が恐ろしく長い

南岳への尾根に上がる
北穂高や涸沢岳が見える

槍が見事だったが、写真を
撮る余裕があるのはここまで

南岳山頂

2日目 南岳・中岳・大喰岳〜ヒュッテ西岳〜赤沢山往復
●昨日攣った足が心配だったが、歩いているうちに何とかなりそうだったので一安心。天気が悪い中、「ほんまかいな」嬢達にどこで会うのか楽しみだったが、大喰岳を過ぎる頃にはこちらに向かうのを諦めたと確信した。
●槍の穂は省略して、雨は降らないものの相変わらず雲の中にいるようで景色のつまらない道をひたすら西岳へ急ぐ。銀座コースだからすれ違う人も多いが、ヒヤッとする場所も少なからずあって、歩きにくい道が続く。赤沢山は台地形のなだらかな山容だがヒュッテとの間の切れ込みは大キレットの如くに自分には思える。ヒュッテへの道を仰ぎ見るとかなり急峻で、あの沢筋のどこを渡るのか不安にもなる。途中で雨になった。
●ヒュッテ西岳に着いて宿泊を願うと、この時間なら大天井へ行くほうがいいと言って受け付けない。赤沢山へピストンすると言うと、宿泊は帰ってから考えればいいと、往復1時間ほどだから行って来なさいと促される。今日は団体さんが入っているので宿泊客がかなりいっぱいの様子だった。
●雨が止まず、カッパの下も履いて赤沢山に向かう。下り口が不鮮明でちょっとうろうろするが、確かに踏みあとが付いていた。とんでもない急降下で、黄色いテープが所々に着いているだけだ。どうしても岩の斜面をトラバースしなければならないところに行き止まった。黄色いテープに書いてある小さな矢印は確かにそこを渡れと言う意味だろう。でもステップがないので、頭の上にある枝をつかんで「エイ、ヤッ!」と渡りきる。ヒヤヒヤものである。かなり下っての登りはハイマツ等の藪が下に向かってかかっているので、力任せで登る。登りあがるとほとんど平らな広い尾根で、山頂の三角点と標識のある場所まではすぐだった。しかし、カメラを忘れてきたことに気づきがっかり!帰りは2座目登頂の安堵から10分
ほども休憩したが、それを除くとほんとに1時間ちょっとで往復することができた。小屋はやはり満員状態だったががそれほど窮屈でもなかった。


南岳小屋


槍ヶ岳へ向かう
正面は中岳

大喰岳

ヒュッテ大槍が霞んで見える
ここは女性好みのいい小屋らしい

左から西岳、すぐ右の平らなところに
ヒュッテ、鞍部をはさんで赤沢岳

西岳の登り、道はどこを通るのか?

ヒュッテ西岳から、左から東大天井岳、横通岳、そして常念岳の雄姿

3日目 ヒュッテ西岳〜西岳(ピストン)〜赤岩岳〜東大天井岳〜横通岳〜常念小屋
●西岳から稜線伝いに赤岩岳へ行けないかと探ったが、かなりの藪がかかっていたので別に登り口があると思い、その入口を捜しながら先へ進む。ところがいくつか峰があってどの頂が赤岩岳なのかはっきりしない。地図を見ながら巻き道を行ったり来たり、行き交う人の視線が気になる。何度か確かめてあの峰に違いないと確信してから、どうしても登り口が探せない。思い余って登れそうながけを上がり始めたが、ガレているから木の枝につかまりながら何とか登り、稜線にあと数メートルでハイマツのすごい藪を力任せに這い登る。大きな岩があってその向こうだと思って進むと、いきなり切り立った岸壁で進みようがない。万事休す!と思ったがタバコを吸って落ち着き、岩の陰を下って大きく廻り込むと、果たして三角点が見つかった。前日の赤沢山もひどかったが、こちらは馬鹿げた山頂だ。帰り口を捜すのにまた行ったり来たりしてようやく元の正式な山道に降りることができた。後で先輩に聞いたら西岳から稜線伝いに行くのがルートらしい。でも降り口はどこだったんだろう?
 かなり時間を食ったし体力も使ったので大天井までがきつかった。しかし、大天井ヒュッテからの登りはコマクサの大群落があって夢心地であった。大天井の山頂は割愛して先に進むと、なだらかで広い斜面が続き、とても歩きやすくて気分がよい道のりだった。しかし、東大天井岳も横通岳もルートを外れなければならない。一苦労であったが、ようやく今日の宿の常念小屋に着くと、ビールを飲みながら持参の小説を読んで過ごすひとときは格別であった。


西岳から赤沢山
奥に前穂と奥穂

赤岩岳山頂


大天井へ向かう


大天井ヒュッテからの登りは
コマクサの大群落だった

大天井から常念への縦走路

横通岳、常念が少し覗いている

常念の登り


4日目 常念小屋〜蝶槍〜横尾山荘
 常念をゆっくりじわじわと登り切る。展望は相変わらずあまり良くない。休憩したときに周りにいた登山者の話では蝶ヶ岳ヒュッテの評判が悪く、泊って展望が良くなる見込みも薄かったので、横尾山荘へ下ることにした。蝶槍から常念へは30年位前だが逆方向で一度着ているはずだが覚えている場所がまったくなかった。
 横尾山荘では明日から山に入る2組3人と一緒だった。鹿児島から来たという65〜70歳くらいの単独行の人が、東京にいた若い頃に一度だけ登った奥穂高岳の写真を見せてくれて、何かを確かめに行くのだという話を聞いてちょっと感動した。朴訥で頑固で勤勉そうな、体格は小さくとも農業で鍛えた筋肉質な、これぞ日本男児と思える人が眩しかった。