アサヨ峰2799m、高嶺2779m
2007/9/15〜16

9/15 市営駐車場〜広河原〜栗沢山〜アサヨ峰〜早川尾根小屋

 天気が思わしくない。台風が九州を掠めて日本海に出てこようとしている。1日目は持つが2日目からは危うい。とりあえず今回の2峰は大丈夫だろうと、3連休の2日間をあてることにした。3日目は天気と気分次第。
 芦安の市営駐車場に着いたら5時前だったが、すぐのバスでは北沢峠までは接続がない。ゆっくり支度をして5:40の満員のバスに乗り込む。北沢峠から少し戻って駒仙小屋(以前は北沢長衛小屋と言った?)から、ほとんどの人が行く仙水峠を見送り栗沢山(以前は栗沢の頭と言った?)への道を行く。途中の樹間から北岳と駒ケ岳が覗いて「来た」という感動が沸く。間近に見るのは30年以上振りだろう。体調が良く、ほとんど疲れもなく山頂へ出る。東から雲がかかってきて八ヶ岳方面は真っ白、北岳、仙丈岳、甲斐駒にも雲がかかり始める。しかし三山が指呼の間に大きく見えるのは素晴らしい。先々週登った鋸岳も際立った峰の容姿を見せる。アサヨ峰はここからはどうということのない形だ。
 道々、今日中に高嶺を往復するか高嶺から広河原へ下ってしまえぬかを考えていたが、アサヨ峰への岩の道で足に来たようで、山頂に着いたときはそんな考えは捨てていた。アサヨ峰からは、稜線の方向が少し変わり、かなり下っているので、??と思ったが、よくよく地図を見ると納得。早川小屋までの前半は厳しかったが、後半はあっけなかった。小屋には12時を過ぎたあたりで着いたので、夕方まで持て余してしまった。小屋の中に入って一眠りしようと思ったが、毛布を貸してくれなかったので寒く、いっぱい着込んでそれでも2時間ほど寝た。
 小屋は夫婦二人きりのようで、素朴に純朴を掛けて質実で包んだような人たちだ。小屋も昔ながらの趣を残していて、また是非来ようと思わせる。宿泊客が少ないのが一番だが。夕食は以外においしく、めずらしくおかわりをした。6時半には消灯だったので、零時過ぎに目を覚ましたら、どっちを向いても寝苦しく、寝るのにも体力が要るのが良くわかった。



駒仙小屋の前の橋、みんなが行く
仙水峠は左、我はまっすぐ


樹間から北岳が見えた



すぐ間近に甲斐駒が現れる



先々週登った鋸岳



いよっ!団十郎!
(深田久弥曰く)

南アルプスの女王、仙丈岳


鋸岳と甲斐駒

アサヨ峰



東側から雲に覆われる

9/16 早川尾根小屋〜白鳳峠〜高嶺往復〜広河原〜市営駐車場
 4時頃にどやどや出かけてゆくグループに起こされて、4時半過ぎにはヘッドランプをつけながら出発する。早起きは三文ならぬ千両得、樹間ではあるがすばらしい朝焼けを拝めた。まったくの快晴で、まだ目を覚まさぬ三山も神々しく、北岳のモルゲンロートも平凡な色だが見ることができた。東には昨日見えなかった八ヶ岳が見事だ。だんだん明るくなっていく空と日本を代表する山々をこうやって見られるのは山家でしか得られぬ特権である。
 広河原峠、赤薙沢の頭、順調に過ぎ白鳳峠からサブザック(これが失敗)に替えて高嶺を目指す。景観はますます良く、高嶺までの岩の多い300mの登りも大いに楽しめた。ここぞとばかり写真をバチバチ撮って登っていると、とたんにシャッターがおりなくなり、「バッテリーを交換してください」ときた!!ここまで登ってしまっては、ちょっと頭の中にあったが、メインザックのまま登って来れば良かった、と思ってももう遅い。それを見透かすように高嶺の山頂は筆舌に尽くしがたい見事な景観であった。まず目の前には圧倒的に鳳凰三山、地蔵岳のオベリスクは実に美しく聳えている。地蔵岳から観音岳の石灰質のガレ場が白く鮮やかだ。今一度この鳳凰三山に登ってみたい意欲に駆られた。薬師岳のすぐ右奥に富士山、黒富士になってくっきりと大きい、やはり日本一、その右はずっと雲海で南アルプスの南部が現れる。白根三山の濃鳥岳の左奥は来月挑戦する白根南嶺であろう、広河内岳か。濃鳥岳と間ノ岳の間にひょっこり顔を出しているのは紛れもなく塩見岳だ。雄雄しい北岳から優しげな仙丈岳、そしてアサヨ峰、白山は見えぬか?鋸も見えない。アサヨ峰と甲斐駒との間は雲がかかっているが乗鞍に違いない。甲斐駒はやはり団十郎、その甲斐駒の右は雲海で八ヶ岳が全貌を曝している。その間の遥か向こうには北アルプス立山連峰、白馬三山から鹿島槍、槍穂高は甲斐駒に隠れているか。八ヶ岳から奥秩父の山に渡る、その雲海のずっと奥にも山並みが望める。でも、写真が撮れない!!
 高嶺を後にして白鳳峠から広河原へ下る。途中で、この分なら10時半のバスに乗れるかもしれないと思いつき、ペースを速める。900mの下りを1時間半ほどで林道に出て足早になる。鋸の時のように数分遅れでは涙も出ない。何とか間に合ってバス停が見えた。その手前で乗り合いタクシーに誘われ、市営駐車場には30分近く早く着いた。1時半には自宅に着いて思う存分の一人反省会が余裕でできた。


樹間から見える至宝の色

昨日見えなかった八ヶ岳

アサヨ峰から甲斐駒

北岳が目覚めようとしている

モルゲンロート

八ヶ岳が全貌を見せる