1999年 7/28(水) 月山      

志津小屋=月山スキー場駐車場4:30−(この間暫時休憩)−8:00月山頂上8:30−10:00月山スキー場駐車場=志津小屋=山形自動車道=東北自動車道二本松IC=大玉村県民の森キャンプ場
志津小屋国民宿舎のキャンプ場を出てスキー場の駐車場へ着く。シーズン中はかなり込合うのであろう、広い駐車場である。ちょうど夜明け前の薄明の時刻で、木々の間を通して朝日連山の黒い影がくっきりと見える。今日もいい天気になりそうだ。
先に駐車していた単独行氏が着替えてから車でさらに奥へ行ったので、別の駐車場でもあるのかと思い私も車を進める。すぐ先の姥沢小屋の手前から登山口になり10台程の道路際の駐車場は満杯で、駐車を遠慮するような案内もあるので引き返す。山へ行くのに車で行くのは、バスの時間を気にせずに早朝から登れる、最奥の登山口まで行けて登山時間を短縮できるなど多くのメリットがあるからだが、どうしてもできるだけ奥へ車を進めようという気持ちが強くなる。歩くのを楽しみに来ているはずなのに、車で来たのだから車で行ける所まで行かないと損だ、できるだけ楽をしようという気持ちになるので、自分ながらあきれてしまう。
駐車場から舗装道路を歩くと、スキーシーズンのための売店が沿道にずらりと並んでいる。姥沢小屋の脇を通って登山道に入る。樹林帯から谷沿いの巻道になると南の見晴らしがきくようになり朝日連峰がさっきより明るくはっきり見えるのでビデオを撮りまくる。道が山の陰からはずれると、広大な緩斜面の草原になり、キスゲなどの花々があちらこちらに点在して湿原も交じる。とっくに日の出の時間が過ぎているので明るく、空も青々と晴れているが、朝の日差しは月山から南に伸びる尾根で東側が遮られ、歩いている場所にはまだ光線が直接に差していないので、とても清々しく気持ちが良い。虫の羽音と爽やかな朝の風、そして西側の姥ヶ岳の山肌を流れてくる雪解け水のかすかな音とともに、この広々とした牛首下の原を一人占めして気分は最高である。やがて姥ヶ岳の稜線が明るい金色に染まり出し、それが次第に広がってこちらへ降りてくる。そして反対側の東の稜線から矢のような光線が何本も放射状に差してきた。私にとってのご来光であった。牛首から月山山頂への稜線もすっかり朝陽に輝いて緑が眩しい。途中で木道に変わって歩きやすくはなったが、日が当たり出すとまだ7時前というのに汗が噴き出し始める。牛首からまもなく岩だらけの急登で、一頑張りでカジ小屋に着いた。休憩所的な建物で管理人さんもいて缶ジュースが冷やされている。小屋の中に入ってポカリスエットで喉を潤し、休んでいた母娘と言葉を交わしながら腰を下ろそうとすると「休憩○○円」と書かれた札が目に入り、あわてて出発する。ひと登りでなだらかな稜線に着き、小屋と月山神社に向かう。カジ小屋で休んでいた母娘(娘はとても感じのよい美形である)から神社の奥の塀を越えると見晴らしがいいと聞いたので、神社の中に入ろうとすると通行には祈祷料が必要と書いてある。まあいいかと500円を払うと、建物の窓際にいる神主さんの前で「かしこみかしこみ」とやられた。札を水瓶の中に入れて終わり、お約束通り塀を乗り越えるとなるほど展望がいい。ちょっとした岩のある向こうに進んだら月山山頂であった。ここまで来て気付いたが、何の事はない、神社に入らずにぐるっとまわればここまで来られるわけだ。でも、霊峰月山の山頂で今回の山旅が無事終了するように祈ったので、気分は悪くなかった。見渡せばはるか向こうに昨日登った鳥海山が大きく鎮座している。朝日連峰も大きく広がってたくましい。頭を東側に転じると月山の写真で良く見る月見が原というなだらかな広がりが雄大である。
ここで食事を執り、山々やウスユキソウの写真を執って下山に入る。登りは早朝のためにほとんど人がいなかったが、リフトが動き出したのか、牛首下あたりではたくさんの人が登ってくる。平服のおばさん達も混じっていて顎を出している。先ほどカジ小屋で会った時に、例の母娘がスキー場からのバスが無いためヒッチハイクを心配して私に追いかけて欲しいなどと言っていたので、休憩も取らずに急いで下ったが、山頂でのんびりし過ぎていたので追いつけなかった。ヒッチハイクはうまく成功したのだろう。おかげで早めに駐車場に着いた。
前日までのように急いでテントを撤収し、安達太良に向かう。山形道を飛ばして二本松インターで降りる。二本松市内のスーパーで買出しをして、人に聞いて県民の森という大玉村のキャンプ場へ向かう。岳温泉入口を左折し、県民の森入口で右折して進むが、ずーっと舗装されたばかりらしい新しい道が続き、山の中に入っていく感じがしない。着いてみると素晴らしい施設で、キャンプ場へはゲートまで作られている。カウンターで申し込むと予約の有無を聞かれ、満員で泊まれないという。オートキャンプでなければと言うので私はまさしくそれが望みなので安心する。キャンプ料は入浴料付で1日2000円もしなかったと思う。チェックアウトがam11:00というので交渉し、1日半の予約をする。時間までに戻れれば1日分でOKであるが、安達太良山往復では難しいかもしれない。受け取ったカードでゲートを通過し、舗装の広い道を下るように進むと、周りは全部オートキャンプ場でほぼ満員のようである。サイトは台地状にきれいに整地されて芝が植えられた広い一角で、私の他には1組2張りがあるだけ。駐車場は少し離れているが、サイトのすぐ側に止めて荷物を降ろしたらそこに置きに行けばいい。テントとタープを思いきり贅沢に場所を取って張ったが、所詮私のはコンパクトでサイトの片隅にちょこんとある程度。空き地でサッカーくらいできそうである。すっかり準備万端で風呂へ入りに行く。建物同様にきれいで広い浴場で、サウナまであった。サウナはセラッミックの遠赤外線という奴で、入ってまもなく変な雑音がしてきたので、気味が悪いのですぐに出てしまった。この県民の森キャンプ場は来場者が多く、家族連れに人気のスポットのようだ。サイトのそばの遊び場では夕方うす暗くなるまで子供らのはしゃぎ声が賑やかだった。それを快く耳にしながら、お湯でほてった体の汗を拭きつつ、明日の安達太良山登頂に夢を馳せ、ギンギンに冷えたビールとキャンプとしては贅沢過ぎるつまみで極楽の夕べを過ごした。これで今回の4泊のキャンプはすべてが極楽気分で終了できて、こんなに幸せでいいのだろうかと、暫し人生について沈思黙考する私であった。
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