7月18日
幌尻岳
'02.07  北海道








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7/17() 幌尻山荘へ

陸別600=日高=915豊糠=1000林道ゲート1035―(R015)―1220取水ダム1230115渡渉開始点140250幌尻山荘

朝食を摂ってから雨の中をテント撤収し、日高に向かう。池田から清水へ向かう高速道路はこれ以上になく空いていて、前方にも後方にも1台の車もない。反対車線ですれ違う車も10台ほどだった。果たしてどうしても必要な道路だったのだろうか?

再び糠平川沿いの林道を走る。途中まではカーブミラーがあるが、なくなるとクラクションに頼るしかないので、対向車に注意するため窓を少し開け、オーディオを消し、ライトを付けて慎重に且つ4WDの醍醐味を意識して走っていく。途中で大型トラックと1台すれ違っただけだった。豊糠から45分ほど走って林道ゲートに着いたのは10時前だった。56台の車が駐車している。ちょうど北電関係者の車がゲートを越えていくところだった。同乗できれば楽ではあるが、一面この幌尻岳山行につきものの林道歩きだけに声をかけようとは思わない。


取水ダム

林道歩きと沢登りがあるので地下足袋とわらじを用意した。このいでたちは30年ほど前の正部員養成Wのガラン谷遡行以来かと思う。地下足袋の林道歩きは、左親指の間に少し違和感がある程度で快適である。もちろん石を踏むと少し痛いが気になるほどではない。ただ、重い荷物には向いていないかもしれない。しかし山靴よりははるかにいいだろう。途中で小雨が降り出した。あいにく傘を忘れたので蕗の葉を代用した。「いとおかし」という感じである。取水ダムに着く。ここからどこへ水を送っているのか、そうではないのかわからない。

ここからいよいよ山道である。始めにちょっと高巻くところがあったが、へつって行くのに造作はなかった。30分ほどで休憩を入れていると対岸から初老の男女がこちら岸へ渡渉してきた。ここが渡渉の始まりらしい。わらじを濡らして履く。いい感じで岩を掴める。渡渉が多いとは聞いていたが、渉ったらすぐに渉り返すという繰り返しが前半だった。水量はほぼ平常かと思われるが、股下まで濡れるところもある。後で聞いた話だと、ちょっと水量が増えている状態だと胸下まで入ることもあるそうだ。これでは雨が何日も降ったら堪らないだろう。天気はまあまあの状態で、気持ちよく沢沿いを歩くことができた。

幌尻山荘
幌尻山荘は思っていたよりは大きなものだった。外にいた人に聞くと昨日は50人も泊まったと言う。今日は20人のツアー客が2階を占有していて、それでも40人はいないということ。唖然とする。まさに100名山ブームである。このあともう一組のツアーが遅くに来て結局50人近くが泊まった。ツアーがここまで多いとは予想以上だった。学生が休みに入る前の平日でも、これに無関係なのか中年、初老のグループばかりである。自分もその中のひとりではあるが...。トイレは中に1箇所、外に工事現場にあるようなのが2ヶ所ある。料金は1000円で自主的に据え付けられた箱に入れることになっている。台所もあって、有志で建てられた小屋の造りである。1階は先に着いた人達がいい場所を広く取って荷物を広げていて、後組は隅っこに肩身を狭くしている。人間の心理としてはまあそんなものだろう。どうしてもエゴが現われてしまう。それでもなんとか寝る場所を確保することが出来て、明かりがないのでさすがにみんな早く就寝した。

7/18() 幌尻岳

幌尻山荘4155151330m)525555命の水605645お花畑705805幌しりだけ山頂825950(1330)10001035幌尻山荘12001320渡渉開始点―1350取水ダム1400―(R010)―1520林道ゲート


命の水

寝たのが早かったから4時前には起きて準備を始めた。もう明るくなっているが、さすがに先頭をきって登り始めるのは躊躇する。道はこのところの雨で滑りやすい。帰りは大変だろう。命の水まで2時間弱は辛抱の登りだ。夕べ小屋で近くに居た単独行者が隣の夫婦にいろいろ話し掛けていたが、いわゆる私が決めつけているところの「自慢話おじさん」で、その人が前後して登っていた。追いつくと辛そうな声をあげて「水場が近いと思って水を持ってこなかった」と話し掛けるので、これは暗に水が欲しいと言っているのかと思ったが、命の水が近いし、自分も1本立てる分しか持ってこないし、「自慢話おじさん」には辟易するから無視することにした。1本立てていると、そばに来て座って辛そうにぜいぜいしているのですぐに歩き始め、いやらしいが少し行ったところで靴紐を結びなおしながら休憩していると、諦めたのかそのまま歩いていってしまった。水のあるところがどのくらい歩けばあるのか地図など見もせずに、そのくせ「俺は3年間であっちも行ったしこっちも行った」と自慢たらしく話す人だったから、意地悪ではあったがちょっと小気味よい。命の水は登山道を少し外れたロケーションが良いところにある。さっきの人はここで大休止らしい。

ここから少し登ると稜線に出て平らになり、エゾゼンテイカやコバイケイソウが現われた。この先で森林限界になった様子でハイマツが出てくる。ゴゼンタチバナ、イワヒゲがある。エゾツツジ、エゾイワツメクサも1株ずつ見つけた。見晴らしも良くなったはずだが生憎のガスの真っ只中である。ハイマツの狭い稜線を抜けるといきなりお花畑になる。チシマフウロ、チングルマ、ハクサンイチゲ、エゾツガザクラ、アオノツガザクラ、コエゾツガザクラ、ハクサンチドリ、ミヤマダイコンソウなど素晴らしい光景が辺りだけ続く。晴れていれば北カールが一望に見渡せ、その上に幌尻岳から戸蔦別岳への勇壮な稜線が美しいはずである。
残念ながら花だけを眺めて歩くと意外と早く山頂に着いた。山頂には小屋から前後して追いつ追われつ歩いていた夫婦だけしかいない。カメラが電池不足で記念写真が撮れないというので私のデジカメで撮って郵送してあげることにした。この愛知県一宮市のH氏夫妻とは下山中も林道ゲートまで前後して歩いた。

山荘からまた地下足袋わらじで沢を下る。昨日のわらじがほとんど痛んでいなかったのでスペアは使わなかった。結局林道に出るまでこれでもった。渡渉地点は良く対岸の赤布やケルンを見ないとわかりずらい。1箇所高巻になっているところがあって、こんなところ通ったかなとは思ったが、なんとなく行ってみようと思って登り始めた。これがとてつもなくしんどい急な登りで、途中でH氏夫妻ともう1組に追いつくと、結局おかしいということになって引き返す。なんと対岸に道がある。おかしいと思ったら落ち着いて良く周りを見ないとこういうことになる。

帰途の林道歩きはさすがにくたびれる。来た時と意気込みが違うから2組に追い越されてしまった。それでも地下足袋のおかげで足を痛めることもなく、ようやく林道ゲートに着く。

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